私の中の眠れるワタシ

結芽−ユメ−




胎動は日々感じる。

切迫流産の入院は、一週間ほどで済み、私は自宅静養となった。

入院から仕事は産休に入り、身も心も休まる時間が訪れた。

結局ブラウンを選んだあのソファにもたれ掛かり、私は出産にまつわる本を読み耽る。




「アキ、妊娠中にお腹の赤ちゃんに名前をつけて呼んでいると、親の実感が湧いてきて、いいみたいよ。」

私がそう話すとすぐに彼は、

「じゃ、そうしよう!」

と言って、名前を考えだした。
深刻になって考えこんでいるので、

「あのね、生まれた時までにそれからの名前を考えておくのでも、いいみたいだから、なんか呼びやすくてかわいいのないかな?」

と言うと、

「じゃあ、ユメにしよう!赤ちゃんは僕のユメだったから!」

と元気よく言った。



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