私の中の眠れるワタシ

『ユメ』という名前に、『ちゃん』をつけて。

それからの二人は『ユメちゃん』の話に毎日胸がときめいた。

赤ちゃんと呼ぶのと、ユメちゃんと名前をつける事で、これほどまで実感に差がわくものか。


たまには二人でケンカしたけど、そんな時も、

「ユメちゃんが聞いているから、やめよう。」

とどちらかが言う事で、収まった。

私はこの頃から日記をつけはじめ、ユメちゃんに漢字を当てた。


−−夢。これ一文字でもよかったけど。


私と彼の結ばれた間に、この子という『芽』がでたような気がして、


−−結芽−−

そう書き記した。




そうして、出産予定日をむかえた十二月。





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