私の中の眠れるワタシ
彼が玄関に姿を見せても、出迎えに行ける時は限られていた。
圭太郎が寝ている時か、もしくは起きていて機嫌の良い時。
私は彼の体調の心配を、私達の生活のためにし、生活費の収入源として彼を大切にしていたのかもしれない。
「蜜、最近、風邪ひいたみたいで、セキが止まらなくて……」
そんな彼の弱々しい呟きも。
大変だ!と、私は叫び、すぐに彼を私と圭太郎から隔離した。
……今思えば、嘘だったかもしれない。
ただ、大丈夫?と優しく抱きしめられたかっただけかもしれない。
エッチすれば、治るよ!
なんて。
軽く言ってほしかっただけかも、と。
だって彼は、セキなんてしてなかった。
私は、セキが出ると言ってたけど、おさまったみたいでよかった〜としか、思わない。
−−彼を隔離した夜。
本当は彼が何を望んでいるか、気付いていても。