私の中の眠れるワタシ
裏切り者
私は、仕事の感覚が蘇ってくると、あの頃の生き生きした生活を思い出した。
華やか、とまではいかなくても、多少自由になるお金がある事は、気持ちの余裕を生んだ。
だから、アキの事を気にしてなかった。
休みの日には圭太郎だけを連れて、買い物に行く。
隣に並んだ主婦が、安っぽいセール品を手に取り、五百円の差で十五分も迷っているのを見たら。
……私は躊躇なくそのワゴンとは別の、キャラクターがついた高い服を買い物カゴに入れた。
そして、関係ないその主婦をなぜか見返したような気持ちになる。
アキには、私が休みの日くらい、息抜きをして自由になってほしかった。
というよりはむしろ、圭太郎を私一人で独占したかった。彼から遠ざけたい。
私と圭太郎ダケの時間がほしかった。