私の中の眠れるワタシ
私は、そっと遠くからそれを見つめた。
放心状態に近かったかもしれない。
だからどちらかというと、眺めた感じだ。
別にそれだけ。
キスをみたわけでもない。
ただ、隣で手を繋ぐ彼女の露出が気になったけど……
でも、それだけだった。
私は家に、黙って向かった。
彼を咎める事が、できない。
もう、彼の身体にも言葉にも興味がなかった私に、咎められる資格などないような気がして。
だけどただ。
『ウラギリ』という言葉だけはよぎる。
どんなふうに、いいように解釈しても。
どうしても。
こんなに悔しいのはどうしてだろう。
セツナイのは、どうして?
……多分、私は。
彼と手を繋ぐ事さえも、
忘れていたから。