私の中の眠れるワタシ
「仕事、辞めてくれないか。」
彼が強い調子で私に言った。
それは、できない。
ダッテ……
私が担当している仕事は、私じゃなくちゃ、デキナイモン。
適当にはぐらかしながら、なんとかそのまま生活を続けた。
「ねえ、蜜、聞いてる?」
最近よく言われる言葉だった。
私はその度に、彼をみては、ウンザリした。
『裏切り者』に、聞く耳なんてもてるハズないじゃない。
「聞いてなかったとしたら、なんなのさ。」
彼は驚き、黙った。
−−蜜は、圭太郎の事、かわいくないの?一歳児健診の、話だったのに。
そんな疑念を持った目がワタシに向けられても。
アンタのほうが先に、裏切ったのだから、言われる筋合いはナイと、思う。