私の中の眠れるワタシ
私は、私なりに圭太郎を愛していた。
出産のあの日。
どんな思いで分娩台にあがったかなんて、彼には絶対ワカラナイ。
−−私ダケノ圭太郎ニシタイ。
いつしか、私は夫婦の意味も忘れ、彼を遠ざける方法ばかり、考えていた。
圭太郎を養う実力をつけなくては。
私は一生アキまで養わなくてはならない。
アキは男なんだから。
私の思いを察してくれてもいいのに……。
だけど、『男なんだから』というありふれた言葉の虚しさに気付き、彼の、まるで母親のような愛情あふれる優しさを目の当たりにすると、
−−これが、うちの家庭にとっては、ベストかもしれない。
そんな風に考えて、自分を納得させた。