私の中の眠れるワタシ

−−ハヤオは、私に言った。


遊びでは、付き合えないから。
俺はシンノさんと。
ソノツモリで、付き合うと。


社内恋愛はまずい。
ましてや、不倫なんて。
だから、誰にも相談できなかった。


そのうえ、私も彼を好きだと思う。

……アキと比べて、だけど。


ハヤオは、私の同僚だった。
私と同じようにエリアマネージャーを担当していた。

私は研修が多かったから、受け持ちの店舗は彼と交互にみていた。

せっかちな私と、慎重な彼。
実績がでない店舗は、どうしようもなくいらついた。
でも彼は、

「そんなことも、あるさ。」

気長に待つタイプだ。

私にないものは、彼が持っていたし、彼がないものは、私が。

受け持つ店舗は、この真逆な管理体制に多少戸惑いを隠せなかったが、徐々に伸びていく。