私の中の眠れるワタシ
「私の事、馬鹿にしないでよ!
たしかに、ここにくるまで、……知らなかったけど。
だからといって、そういう事バッカリ考えている女だと、思わないでちょうだいね。」
勢いまかせにしゃべりたおすワタシに、彼はそっと唇を寄せた。
それだけで、よかった。
それ以上なんて、ない。
彼に求めるものは、カラダなわけじゃない。
−−ワタシの心の平和。
ホントの理解者。
ワタシを認めてくれる人が欲しかった。
無条件に、
「蜜は、頑張っているよ。」
と言ってくれる人が欲しかった。
そんな父性愛みたいなものに触れたいと。
どこかで願っていたのかもしれない。
彼は、決して『病気』なんかでは、ない。
性欲の邪魔がないおかげでむしろ、男として完璧になっている気がした。