私の中の眠れるワタシ
交換日記は、相変わらずの調子で続いていた。
−−今日、目が合っちゃった!こっちを見てたみたい!
−−帰り道、十メートルくらいの距離で一緒に帰っちゃった!
−−部活の時、ボールを私の方に向かって返してくれたの!
どの報告にも、私は、さも友人の幸せ(な勘違い)を喜んでいるかのように振る舞い、かるく嫉妬をこめて、
「それってさ、きっと……」
と、ちょっとの不安要素なら、吹き飛ぶくらいトビキリの続きを用意してあげる。
友人達は、恋する自分を、楽しみたいから恋しているのだ。
私のように、悩が麻痺するくらい答えのでない切なさを、求めているわけではない。
その証拠に。
どんな些細な出来事も私に話し、自分だけの想像力の限界を、私のイマジネーションで補ってあげる事で……
明日を、『予想以上の明日』にしようとする。
皆それを期待している。
『ダメかもしれない』
その言葉は、私にそれを強要するとき。