私の中の眠れるワタシ
「最近、サーブのコントロールも良くなっているし、随分上手く部活もまとめているじゃないか。調子よさそうだな。」
相田先生が受け持つ英語が終わった瞬間に、廊下で一緒になるよう慎重にタイミングをはかりながら、私は教室を出る。
先生に背を向けた形で、同じ方向に向かって歩く。
思ったとおり、先生はニメートル位後ろから、声をかけてくれた。
わざと遅れて振り向き、
「先生が、テニス部をみてくれるようになって、随分と部活も、皆も、変わりましたから。」
とおだてるように言い、先生は満足そうに頷き、
「最近は皆、授業も集中してくれるし、助かるよ。お前のおかげだな。」
私は紅潮する頬を見られないように俯き、ノートの束を抱え、歩き出した。