私の中の眠れるワタシ

あれから。

私の日常は変わる事はなく。

テニス部の部長になる前も、なった後も、相田先生が教える英語は退屈だった。



発音が良すぎて、逆に笑える。

去年まで英語を受け持ち、今年定年退職した先生は、まるでカタカナのような発音で。


あれはあれで笑えたけど……


同じ英語の授業とは思えない。

交換留学生や、海外から語学研修に来ている、外国人先生のタマゴと、授業中談笑しては、板書が中断する。

全くなんの話をしてるものか、わからない速さだ。


その様子だけで。
何人かの女子学生は憧れ、相田先生に毎時間のように勉強を教えてもらいに行く。
まあ、わからないでもないけどね……と……
鼻白んでいた。


相田先生は、質問に来る生徒と来ない生徒の理解度の差を気にし始めたらしく、五月には、とうとう授業中、

「全員、宿題ノートを作る」

と言い出した。




< 47 / 433 >

この作品をシェア

pagetop