私の中の眠れるワタシ

ワタシは浴槽にお湯を溜め始めた。
長く浸かる事になるかもしれない。

少し熱めに。

お気に入りの入浴剤もいれた。

お湯が溜まるまでの間に、ワタシは側に置いてから瞼を閉じたい、愛している物を集める。



一つは母子手帳ケース。
中身には、母子手帳なんて入っていない。ただ、二回だけ撮った超音波の写真だけ。


もう一つは、服。
サイズは80センチの男児服。長袖で、肘のあたりから切り替えになっている。
袖の部分に散らばる、星の模様がかわいかった。

何度もその腕が、ワタシの方に伸ばされていた事を、懐かしく思い返す度……
すぐに頭痛がして、いつだってすぐに涙がでた。


この服と湯舟に浸かろう。


最後の最後に、幻になって圭太郎が現れるかもしれない。

会えるなら……。

待ち遠しさでいっぱいになった。

一枚だけ持っている写真も一緒に。
もうこれ以上は多すぎる。



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