私の中の眠れるワタシ

「なんで先生に、昨日あった事を教えなきゃならないか、意味解んないんですけど。」

「プライベート、プライベート!」

男子はますます、ヒートアップする。

忘れた人は、尚更だ。
今、こっそり書いていた人も、手を止めてその流れに加担する。


「まず、聞いてくれ。
日記にしたのは、理由がある。」

先生は動揺を隠し、言葉を続けた。

「文章を書くということは、考える力が育つ。

それに、言葉を覚えるのに、とても早くて良い方法なんだ。
会話をする時に、自分の言葉で、自分の気持ちを伝えなくてはならない。
……教科書の丸暗記だけが、役に立つわけでは、ないんだ。」


皆、文部省にケチをつけるのか!とか、お前の勝手な考えだろ!とか、だんだん言葉が乱暴になっていく。



< 51 / 433 >

この作品をシェア

pagetop