私の中の眠れるワタシ
それでも、先生は毅然と振る舞い、
「提出したくない奴は、その気持ちを書いて提出してこい。
できれば、英語で。
課題をマジメにやってきた奴もいるんだ。
授業をはじめるぞ。」
と言って、黒板の方を向いた。
文句を英語で、という言葉に、また男子は口々に何か叫んでいたが、少しずつ、授業時間を削ろうとする意図も見えてきた頃だったので、女子は、静かにするようなだめた。
私は、手元にある自習ノートに、課題から少し行を空けて、辞書をひいて最後に一行付け加えた。
「We should be able to think of a good way if all put our heads together.」
−−−皆で話し合えば、きっと良い方法がみつかりますよ、先生。
その気持ちをこめて。
辞書から丸々文章をいただいて、そのまま書いた。
いくつか、読み方も意味も、わからない単語があるけど……
先生ならわかるだろう。
−−−次の英語の時間。
返却されたノートには、赤いペンで
「Its all right with me.」
意味は書いてくれていなかったが、多分大丈夫とか、そういう類の言葉である予想は、ついた。
そしてその続きには。
「僕は、僕の信念を曲げません。
まだ若いから、頑張れますよ。皆には負けません。
きっと皆もそのうちわかってくれる事を信じます。」
と書いてあった。