私の中の眠れるワタシ

先生イジメ




嫌な予感は、大体的中するもんだ。

私はもともと、『嫌な予感』というものに縁がない。

家ではいつも、知らぬうちに地雷を踏み。
学校では用意周到に、自分のキャラクターを踏まえて行動するため。


……予感は、ない。


そんな私が、嫌な予感を感じるなんて。

それほどまでに、クラスのムードは悪化していた。



英語の、一つ前の授業が終わる。

コソコソ話していた男子が四、五人立ち上がると、黒板に近付く。

白いチョークを一度にぎってから、黄色に持ち替える。


『バカ相田』

中央に大きく書かれた文字のその周りに、言葉は増えている。

−−死ね死ね死ね死ね!

−−星に帰れ!アメリカ星!

−−お前が話すと皆シラケる、気付けバカ!

−−授業ヘタすぎ、わからなくて死ぬ〜!

−−お前のせいで、英語大っキライ。


五分もしないで、黒板は余白を無くす。

ふざけて女子まで書き出す。

完成したときにはまるで、美しい卒業式の寄せ書きみたいだった。


仕上げに、教卓に黒板消しをたたき付けると、白い粉が教卓にばらまかれた。
モクモクと白い煙が立ち上り、前列の生徒は、むせて

「もう、いいだろ〜!」

と叫んだ頃に足音がした。




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