私の中の眠れるワタシ
教室の、クスクス笑い。
先生がドアを開ける。
いつもどおり、皆を一瞥してから、黒板にぎょっとして、歩みをとめた。
クスクス笑いは止まらない。
日直は、先生の凍りついた姿を気にもとめず、号令をかけた。
「きりーつ」
「起立、じゃねえだろが。」
思わぬ反応に、全員立ったまま、静まりかえった。
「おい、これ、なんだよ。なんなんだよ!!!」
隣のクラスまで、聞こえただろう。
皆はさらに、氷の中に閉じ込められたかのように、ピクリとも動けない。
私はその空気の中、廊下の人の気配が気になった。
隣のクラスで、数学を教えていた学年主任のベテラン教師が、小さなドアの窓から覗いていた。
しかし、なにも言わず戻っていく。
確かに、相田先生にとっての試練だ。
学年主任の田中先生がでてきても、おかしな話であり、田中先生は、ピンチはチャンスと判断したのだろう。