私の中の眠れるワタシ

「……座れ。」

先生が低くそう告げると、バラバラと座りだした。

「誰か、は、いい。」

犯人探しをするわけではない、と言う。

では何を……

「俺の、何が悪いか、順番に言っていけ。
お前からだ。言え!!!」
最前列の、右端の男子が当てられる。

「ありません。」

間髪入れず、そう短く答えた。

「次!」

「ありません。」

「ありません。」
「ありません。」
「ありません。」


ありません、のリピートも、始めに書き出した張本人のあたりまできた頃には、また軽い笑いが含まれていた。

「あ・り・ま・せ・ん。」

−−ドン!!!

突然、先生は黒板に拳をぶつけた。

すると次の生徒から、

「暴力はんたーい。」

と始まると、その次からは、

「授業やって下さい。お給料、税金ですよねー。」

「てか、子供に対して、そんなにマジメに怒るなんて、ちょっとおかしいと思います。」

「先生も、俺達に文句があれば言えばー」

と、クラスの不良グループが次々に嘲笑う。



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