私の中の眠れるワタシ
「ちょっと、いい?それどういう意味。」
皆が驚き、意外そうな顔でこちらを向く。
「私、今までやってたけど。そのノート、ここにあるよ。
見たいならみれば。
今回成績トップは私だよ。だとしたら、一番テストのヒントが書かれているんじゃないの?ほら。見なよ。」
私は隣の生徒に渡す。読もうとはしない。もちろん、回す事も。
「先生の事、いじめて遊びたい気持ちはわかったって。
でも、今の徳井のは、私や他の頑張った奴を巻き込んでいるよ。
悪いけどそれなら、冗談じゃないよ。
自習ノートはやらないと決めた奴は、自分なりに何かやんなよ。
それで誰かが成績伸びて、私が文句言ったらおかしくない?」
全員、俯いた。
私は話しているうちに、妙に興奮してきて、頬が熱を帯びてくるのを感じた。
一気に話し終わったら、なぜか急にホッとして突然窓の外から、給食のシチューの匂いがしてくる事に気付いた。
−−−お腹へった。
クラスの空気もがらりと変わり、先生が言葉を発したときには。
内容なんて、誰の耳にも届いていなかった。
ただ、皆おとなしく教科書を開く。
このおかしな空気を、早く正常な授業中の空気に戻すために。