私の中の眠れるワタシ
−−高田 美月。クラスの成績は中の上。
大学生と付き合っているとか、はたまた家庭の事情で年齢を偽ってバイトしてるとか、本当か嘘かわからないような噂がたち、そして消える事を繰り返す、目立たないけど少し変わった女子。
「用、じゃないけど……。ね、卒業したら、高校どうするの?」
話が続かない。でも、なんとか当たり障りないような事でも聞いてみて……
「決めてないわ。受験なんて、まだ先よ。それに私。」
彼女の大人びた口調に焦る。
「早く結婚したいの。」
「え?」
結婚。それこそまだ先だ。私はつい、言い返したくなった。
が、よく考えると……
国では、女性は十六歳で婚姻が認められていたんだっけ。
高校の事を話すのと、『未来』という意味では、そんなに違わない距離かもしれない。
「へえ。いいね。」
「そう。いいのよ、ソレ。」
結婚という神聖な儀式を、『それ』と言った彼女に、不思議な親近感を覚える。
私は、交換日記の友達から少しずつだったけど、彼女との時間が多くなるようシフトしていった。