私の中の眠れるワタシ
どうして美月には、わかったのだろう。
誰にもばれていないはずだった。
ぬかりは、ない。
でも、彼女はあの時、たしかに、『恋しているだろう』と、言い当てた。
自分の日記に書くのは、先生への想いと、美月の事ばかりになっていった。
−−年が明けた、一月。
教室は、来年のクラス編成の事でもちきりだった。
私は、美月とクラスが離れるだろう。ただ漠然と思い、それと同時に焦るような気持ちになった。
「……ねえ。教えてほしい事があるの。」
「教えてほしいこと?」
足元にあるストーブの熱で身体を温めながら、額は窓で冷やす美月に話しかけた。
「……私があなたに教えてあげられる事は、まだあなたには、早い事ばかりかもよ。
でも私、長崎さんの事は好きだから、いいわ。」
先回りをするかのように、美月は小声でゆっくり、そう答えた。
『好き』という言葉に、私は頭がぼうっとした。
「あ、あの……。ありがとう。えっと……私、キレイになりたいんだぁ。美月みたく。」
なんでこんな事聞いたかわからない。私は、
『なぜ、私が恋してると思ったの?』
と聞くつもりだった。
美月は驚いたようにこちらを見て、それから。
「……いいわよ。あなた、変わったわね。それとも、本当はそういうのが、長崎さんだったのかしら?」
というと、私の部活が休みである日曜を指定し、うちにきてみないか、と提案された。
もちろん、断らない。かといって、子供っぽく喜ぶフリをする必要も彼女に対してはないように感じ、お礼を告げてその週はもう、話さなかった。