私の中の眠れるワタシ
「母さんは、男の身体がないと、生きていけない人なの。それを、嫌とは思わなかったわ。私だって、そうなるかもしれないし。
昔からいつも、何人も男が出入りしていた。それくらい男に好かれる事に努力を惜しまない女だけど、次第に雅史さんだけにしぼり始めたわ。
雅史さんも、母さんに溺れていくのに時間はかからなかった。」
私の魅力は、若いだけ、だったから。
と。
−−私は耳を塞ぎたくなる衝動にかられるのに。
目は、美月の肌の赤いシミからそむけられなくなっていた。
そのシミをなぞる彼女の指は、白く細く……
学校で、シャープペンを握るそれとは、すでにかけはなれた物のように見えた。