私の中の眠れるワタシ

「雅史さんが、母を抱きにくる。それと同時に、私は私を救う方法を見つけたの。」

「それが、あなたも彼に、そうしてもらう事だっていうの?!そんなの……」

私は、たまらず美月の言葉を遮った。

「あなたはそうしないと、いいきれるの?なぜ?なぜその自信があるの?」

愛おしそうにその『赤』を辿る彼女の目は、すでにこの世に生きている人のものではないような、不気味な恍惚の色を浮かべていた。


「あなたは、私が羨ましいと言ったわね。キレイとも。
でも、私、そういう無邪気なあなたが、憎いわ。
……いつも、しきりに私が窓の外から何を見ているか尋ねたけど。」

そう言いながらボタンをかけなおす彼女の指から、目をそらせない。

今、美月の瞳に捕まったら、私はこの空間から永遠に逃げられないような……

彼女の中の暗闇で、私も隅に積まれたぬいぐるみの一つにされてしまいそうな……


そんな恐ろしい妄想を抱いた。



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