私の中の眠れるワタシ

先生に想いが届くためには、美しさをはじめとした今の年齢に欠けているものが必要な気がしてならなかった。

美月には、私にまだ足りないものを、同じ年齢だけど教えてもらえるかもしれないような、そんな期待を勝手にしていた事に気付く。


「そっか。美月も探していたんだね。私が今、手に入れたかったもの。
結局……。」

「そう。自分で探すしかないし私が教えられるとすれば、男の人にただ身体だけ与えれば良いわけじゃなかったってことだけよ。
今の私は、捧げる事で私が満たされているだけ。母もその事に気付いているだろうけど、何も言わない。
叱る事も、恋が実るヒントを与える事も、できない。」

−−私と母は、親子である前に、もう、『女』なの。

彼女がそう言った時、微かに母親らしい声が聞こえた。


なにか、話しているようだった。電話?
……いや。

次第に声は、高くうわずるような、甘いトーンに変わる。




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