私の中の眠れるワタシ
−−−四月のよく晴れたその日は最悪だった。

弟のクラスの担任として、相田先生は入学式に、一年生のクラスの最後尾に着いて歩いていた。

聞いてない。知らなかった。当然、私たちと一緒に、三年生へ進級すると思い込んでいた。

突然すぎる……。けれど、必然?

そこには黒板いっぱいに悪口が書かれていたあの日、ドアの窓から覗いた田中先生の意図があっただろう事は、先生達の雰囲気からわかる。


職員室で、面談されてばかりいた相田先生。


私からみれば、『大人』な相田先生も、ベテランやおじいさん先生からみれば、まだまだ『こども』であり、受験をひかえる三年生を受け持つには相応しくないと、判断されたのだろう。


私は一気に先生との距離が掛け離れたような気がしてめまいがした。


テニス部の顧問だ、それは変わらない、自分に言い聞かせて冷静さをとり戻そうとするが、引退後の事がすぐに頭をかすめた。

……やっぱり、もう時間がない。


あれから私は、ずっと焦り続け、隣の砂場で練習をする弟を担任が相田先生だからという理由だけで妬ましく思い、気付けば後輩達も。

私から逃げるように帰り、そばを歩けばぴたっとおしゃべりを中断した。

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