私の中の眠れるワタシ
意識は遠退くどころか、よりくっきりとするようだった。
忘れていたような事まで、思い出す。
順番に、一日ごとさかのぼっていくような、そんな感覚だった。
楽しみにしていた圭太郎の幻は、最後まで見る事は、なかった。
と、いうか、見る必要がなかった。
それは確実に……
一緒にいた頃の時間まで、巻き戻っていたから。
幻などではなかった。
もう触れられる距離まで、来ていた。
あの、甘えたようなやんちゃな声もしたし、手に触れれば、ぷにぷにとした、柔らかい、温かい感触もあった。
そのまま、どんどん小さくなって、お腹の中に戻っていく寸前。
ワタシが持っている写真は、出産後すぐに病院で撮った、これ一枚。
その写真を撮った日がきた。
カメラのフラッシュが眩しくて、目を閉じる。
そうしてしまうのは、とても、もったいなかったけど。
条件反射でそうせざるを得なかった。