私の中の眠れるワタシ
「また、教えてほしい事でも、あるんでしょ?あなたが、そろそろ来る頃かもって思ってた。」
どういう事だろう。
しばらくぶりにまた、キレイになるための秘密を聞きに来たのかなんて思っているのか?
それとも……
先生の事でしょ?と言われたら、もう逃げ場がなくなるような。
後ずさりたくなるような笑顔にぞっとした。
「うーん……、まあ、ね。」
私は彼女から視線を外すように、部屋の中を見回した。
部屋は以前より殺風景になっていた。
隅に積まれていた、ぬいぐるみは、もうない。
一番の違和感を醸し出していた、あのグレーのデスクもなかった。
かわりにその場所には、真っ白なドレッサーが置かれていた。
「これ、かわいいね。机、捨てたの?」
「捨てた。私には、もう必要ないからね。」
中学三年生で、机を必要としなくなってしまうなんて。
やはり彼女には、何か起こったのだろうか。
「で、知りたいのは、なに?」
いつまでも、口ごもっていては、話がすすまない。
私は、覚悟を決めた。