私の中の眠れるワタシ

私は、その意味を完全にはわからなかった。

でも、遮らない事にする。

「で、今は?」

「……ヒトリよ。普通でしょ?中学生だもの。じゃ、あなたは?
あの恋、実ったの?」

「わからないよ。実るって事自体がわからない。美月にとって、恋が実るって何?」

しばらく、考えている様子だったが、タバコの火を消したら、

「信じる強さを、持てるってことかしら。
たとえ、付き合っていても……たとえば一緒に寝ても。相手を信じられなかったら、幸せではないわ。」

去年の美月は、たくさんの赤いシミを身体につけていたが、たしかに汚くみえた。

それは、彼女が幸せそうではなかったから。

あの赤いシミが、私が殴られた時にできる青い痣と、同じ種類の悲しみをたたえているものに見えた。


本当は嫌なのに、抵抗できない。むしろ、それを望むくらい、自分の心がすさんでいく。


罰をうける事で、許されたと感じる。



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