私の中の眠れるワタシ
妄想
「聞きたい事は、それだけ?」
「え、あ、うん。」
「ホントウニ??」
切なくなった。
仮に、彼女が先生と付き合っていたとして、私に何ができるというのだろう。
……勝ち目はない。
女として生き、愛されるというテーマに、これだけまだ若すぎる身体と心を費やしてきたのだ。
この先。
私は彼女の味わった傷みを、同じだけ感じるような出来事が起こっても、女として生きて、また新たに人を信じ、恋を実らせる事ができるか。
−−正直、自信がない。
「うん。雅史さんと、どうなったのかなって。
他に誰か好きな人、美月は見つけたのかなってさ。」
「そう。それなら、見つけたわよ。」
「……え?」
私は後悔した。
うっかり、余計な事を口走った。
たしかに彼女は、さっき
「ヒトリよ。」
と言っただけだ。
一人ということが、恋をしていない事にはならないということを、私はすっかり忘れていた。
そのくらい、私のイメージの中で美月には、その身体に男の人の存在が当たり前のように、馴染んでしまっていた。
一人なら、いない。恋はしていない。
そんなはず、なかった。
私ですら、そうなのに。