私の中の眠れるワタシ

−−シラナクテ、ヨカッタノニ。


後悔しても、私の心は美月の、『見つけた』という言葉を何度もリピートした。

私は美月に、

「そ、そう。安心した。その好きな人との恋、実るといいね。」

と言ったら、美月の部屋のドアノブを引いた。


「気をつけてね。随分遅くなっちゃったから。」

美月はそう言って、この部屋で見送る事を簡単に詫びた後、タバコに火をつけた。




……最悪だった。

先生と付き合っているか?

結局、一番聞きたい事は聞けず、遠回りな質問ばかり繰り返した。

私がわかったのは。

彼女は今、ひとり。
だけど孤独ではなくて、心の中に誰かを住まわせている、ということ。


それは、先生ではないかもしれない。
でも、先生の可能性だって、結局残ったのだ。


寝てはいない事だけが、救いなんて。それも、確実では、ない。


私も、彼女との会話に慣れてしまっていた。

『愛情』を、ぬいぐるみの中に入っている綿のように、身体いっぱいに詰めた女の身体の上に……

男性が更に、サンドバックの砂のように固くギチギチに詰まった『愛情』を持ち寄って、身体の上に乗りかかる事を。

嫉妬する。



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