私の中の眠れるワタシ




−−−夢を見ていた。

あれは、もう遠い、いつかの先生との帰り道。

会話は、
ない。

場所もわからない道を走る静かな車内で、『月光』だけがあの時のように、流れていた。


−−助ケテ下サイ。

そう、心の中で、呟いた。

先生、ワタシをどこか……
お母さんも学校も、友達も、誰もいない、なにもないトコロに連れていって。

この車で。

……この車ならどこへでも、行けるでしょう?
ワタシの自転車より、ずっと遠くまで。


先生は、私が言葉にする事はなかったその想いに。
なぜか車を停めて、私に向き直した。

「長崎を、助けてあげようか。僕が、守ってあげても、いいよ。
だから、君もその身体を、僕に全て預けてくれるかい?」

え……?全テ?全テッテナニ?

私は、返答に困ってしまう。


一体なんて返事をしたら、先生は私の事、特別にしてくれるの?



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