恋だったよね


「やめて…、離して」




マヤはユウキから離れようとした。
しかし、ユウキは腕の力を緩めない。




「私…ハルトが好きなの。ユウキのことは…好きになれないよ」




マヤの気持ちはわかっていたけれど、その言葉はユウキの胸に深く突き刺さり見えない血が流れた。




「ユウキ…ごめん、ごめんね…」




マヤは泣いているようだった。
ユウキはマヤの顔を見ていられなくて、そっと手を離した。




マヤは俯いたまま、ユウキから逃げるように部屋へと向かって走って行った。
一度もユウキの方を振り返らずに。





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