逢いたい時に貴方はいない
「もしもし?私…」

意外にも コールを何回も聞かずに彼とつながった。


「おお、部屋きたんか?」

「う…ゥン…ぁ…ァリガトね」

声がウワズル。

ちゃんと話たい。
笑顔でカッコヨクしたいのに上手く話せないゃ。
「プレゼントうけとったか?」

「ぁ紙袋のやつかな」
「開けてみー」

紙袋から箱を取り出した。

包装紙をきれいに剥がしながら、開けた。

「どうだぁ?」

「……」

「おーぃ」

「……」


声が上手く出せなかった。

「サンタクロースは本当にきたべ?」

「……」

「サンタクロース来るって言ったべ?」

「…ァリガ……」

声にならない「ありがとう」を何回も呟いた。

「なくなや…」

「う~ん、ま、あれだな…今度また…っつうか…うん」

今度?

また?

次があるの?


「えっと…」

結局、泣いてしまった私がズルい…

彼を困らせている私は最悪だ…

声をかけたくても
なにもしてやれない彼は、きっと何を言ったらいいのかわからないで困ってるんだ。

期待させる事を言えない彼は優しい。

もっと私を傷付けるのをわかっているから、期待はさせないんだね。

私が彼に出来る最後の事は、この状況を早く終わらせる事だけ。

最後の力を振り絞って声を出した。

「泣いてないょ…」

「鍵を返しに…きた」
「ぉ…おう。悪ぃな」
「どうする?鍵を閉めないといけないし…」
私と彼がつながっていられる最後の鍵。

本当に終わっちゃうょ……

終わっちゃうょ……

最後まで
期待する私がいる







「ポストに入れといて」




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