逢いたい時に貴方はいない
彼のアドレスを消去した途端、

電話がなる。

!!!


一瞬、期待してしまった私自身に恥ずかしくなる。



親友からの電話だった……



『ねぇ、池田さんってあんたが元キャバ嬢だって知ってるよね?』


彼は…知らない。
知らないからこそ、
彼を選んだのだから、
知るはずはない。

そう、いつだって彼は、今まで どんなふうに過ごしていたか聞かなかったし、

言う必要もなかったから……


「知らないよ、なんで?」


『雑誌に凄い事かかれてるよ!見た?』

…!!

っえ!知らない……


手が震えた。


キャバ嬢だった事は
別に大したことじゃない……


でも、世間はそうは見てくれないのは馬鹿な私でも理解していたからだ。


彼は有名なヘアアーティスト。

某一流デザイナーに専属される事になり
業界ではかなり話題になっている。


それにくらべて私は……

やっぱり何もない。




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