逢いたい時に貴方はいない
暫くして、
のぞみが
トイレに行くため
席をたった。


(無理して
呑んだんだろうなぁ~
大丈夫かな?)

…と、
トイレの方を
見ていると
隣の下っぱくんが
肩を叩いてきた。

「ん、なぁに?」

『支店長がよんでます』

(は?支店長?)

”下っぱくん”が、
指差す方向には
リーマン普通の方が
座っていた。

??え?

アイツ支店長だったの!!

「なんですか?」

『ねえ、
連絡先教えてよ』

(は?
バッカじゃないの!
店のルールしらんのか!)


お店のルールとして
指名の席で
ヘルプの子が
連絡先を教えるのは
ルール違反だった。

私は
その事を
ハッキリと伝えた。

『じゃぁ
今度指名すれば
連絡先教えてくれんの?』
「そうゆう問題じゃないんだけど…
そしたら私が
指名とりたいために
わざと言ってるみたいじゃない!」
『じゃぁさー』
と、
言いかけた瞬間、
話をいきなり止めた
普通の方。

(なんなの?)

普通の方の目線の先に、
のぞみがいた。

(なるほどね)


いるんだよね~
たまに。
指名の子に内緒で、
店のキャストの皆に
連絡聞いちゃう
バカな客。

こいつも
その一人だな。



そんなことを
思っていると、
隣の下っぱが
また話かけてきた。

『君、優しいんだね』
(は?
こいつも勘違い野郎?)

「いきなり
どうしたの?」

『さっきも
シャンパンを
呑んであげてたし、
今も、
のぞみちゃんに悪いから
あんなこと
言ったんでしょ?』

「え…いや。
別に」

(見てたんだ…
ずっと…

こいつは
いい奴かも)

意外な話から始まった
2人の会話は
意外に盛り上がり
次第に
意気投合しはじめた。


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