逢いたい時に貴方はいない
謎のMailと謎の電話があった間、
支店長達は
店には顔を出さなかった。


「店長、ビールお願いします」

トイレに行くついでにお客さんからの注文を店長に伝えた。
『おっ、了解。3番テーブルね。』

その時待機席には
のぞみの姿が見えた。

トイレの前には待機席があるから、
仲の良い子同士は
大抵トイレに行くついでに客の愚痴を言ってるんだけど
その日の待機席にはマネージャーとのぞみが二人っきりで座っていたから なんだか、
ふ、と
目についてしまった。

声をかけられる雰囲気ではなかったので
そのままトイレへと入ろうとした時 
少し揉めるような話声が耳に入った。


どうやら
のぞみとマネージャーが言い合いになっているらしかった。

『山崎さんから連絡ないの?』

「うん…最近なんにも連絡なくて…返信もないんだよね」

『最近の指名は山崎さんだけしかいなかったのに、山崎さんまで来なくなったら査定を下げざるおえないからな。』

「はい。」



(聞いちゃいけない話聞いちゃったかな…)
山崎さん。

あぁ支店長のボトルのネックの名前だ!

支店長は山崎っていうんだぁ。

じゃぁやっぱり、謎のMailは下っぱくんだったのかな?

こないだ指名かさなりさ過ぎて名前ききそこねちゃったからなぁ~


のぞみ達の話も
終わったようだから
トイレから出るとするか…。


と、その時。
私の携帯がなった。

(やばっ!盗み聞きしてたと思われちゃうじゃん)

早く着信が消えるように咄嗟に適当にボタンを押した。


(ふぅ~焦ったぁ)


トイレから出て
とりあえず、待機席をみる私。

運よく
待機席には
誰もいなかった。



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