逢いたい時に貴方はいない
30分後、
私に指名が入った。


お客さんは
あの支店長率いる5人だった。


相変わらず、支店長の隣には
のぞみが座っていた。
「失礼します」

私がすわる席は…っと……

あ、いたいた。
下っぱくん。


私は迷わず下っぱくんの隣に座ろうとした。

その時、
『こっち座れよ』

「え?」

支店長が自分の左隣を指差していた。

「いやぁ、いいよ。こっち座るから」


私は 即お断りした。
だって、指名の客の隣に座るのがルール。

支店長の隣には
のぞみがいるんだし、下っぱくんは支店長からみて二人先に座ってるんだから、
当たり前に、下っぱくんの隣に座るでしょ、普通は!


『なんだよー俺より宮島の方がいいのか?』
(宮島?
存じ上げませんが)
「えっ?」

『支店長恥ずかしいからやめてくださいよ』
と、言ったのは
下っぱくんだった。

(どういうこと?
支店長は山崎さんで
下っぱくんは宮島さんで、謎のMailは秋山さん……あぁ頭こんがらがってきた)

『立ってないで早く座れよ、ココに』と、支店長。

その時、いきなり
グイッと強く腕を引っ張られて私は支店長の隣のお客さんの膝に座ってしまった。
「あ、ごめんなさい」
腕を引っ張ったのは下っぱくんだった。
(どうしちゃった?下っぱくん。)

『なんだよ宮島ぁ~男らしいじゃんかよぉ、ま、今日は最後だから許してやるよ』

「最後?」


『あ、うん。俺田舎に帰るから今日支店長が最後に送別会として連れてきてくれたんだよ』

「えっ?そうなの?なんか随分急な話だよね」

と 会話をしつつ
結局下っぱくんの隣に落ち着いた私は、
下っぱくんの思いで話に名一杯耳をかたむけた。



< 35 / 264 >

この作品をシェア

pagetop