逢いたい時に貴方はいない

□とまどい

ミー子は私以外の家族皆に看取られながら息をひきとったらしい。
ミー子は幸せだったのかな…?

そう思うと
走馬灯のように
ミー子との思い出が蘇ってきた。

雨で寒い日。
生まれたばかりのミー子を拾ってきて
哺乳瓶から育てたんだよね。

ミー子は小さい時から体を壊しやすくて心配してたんだよね。

トイレトレーニングで失敗した時には
お父さんの大事な鉢植えにしちゃって
私、お父さんに怒られたんだよ。

そんな事を思い出してたら急に涙が出てきた。
冷静ではなかったけどさっきまで涙なんて出なかったのに。

その時気付いた。
大切なものをなくした瞬間は涙すら出ないものだということを初めて知った。

じゃぁ人はなんで、大切なものをなくした時に涙がでるんだろう…って、ふと、考えて気付いた。


もう二度と大切なものに会えなくなるから…もう二度となにもしてあげられないからだ。

だから悲しいんだ。
多分、この時に後悔するんだろうね、
もっと何かしてあげられたのに…って。
それでも、
残されたものは
生きていかなきゃいけなくて…その悲しみから離れられない日々が続くんだね。
でも、人は
いつかは
泣かないでいられるようになる…
それは、きっと
会えない日々が続いて会えない事が当たり前になると
泣かないでいられるようになる。

それでも、また会えない事実を思い出すと、また涙がでてくる。


そんなことすら
今まで全然気付かなかったなんて…ね。

ミー子のおかげで
気づくことができたね。ありがとう。
それと、
今までありがとう…ね。


彼は今、
誰に会いたいと思ってるんだろう。
誰に会えなくなったら悲しいんだろう。


ふと…
秋山さんが
頭をよぎった。


(あれ?私…
なんで秋山さんの事を思い出したんだろ?)

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