逢いたい時に貴方はいない
『知らないのに好きなの?』

「好きなんて、言ってないじゃーん」

(そう。好きだなんて…言ってないし、思ってな…い?)

「っつうか、これって好きなの?」

『じゃないの?凄く幸せそうな顔をしてるよ』

なんだか照れくさて、顔が熱くなった。

きっと、赤くなっているんだろうな…
店が暗くてよかった。

(私…好きなのかな…?)

前の彼氏と別れて3年まともに恋もしていない3年。
暫く恋してないから、人を好きになる感覚を忘れちゃったみたい…

私のこの気持ちは
好きな気持ちなの?




そんな話をしていると 話の張本人が現れた。


「ほら、きょうちゃん!今店に入ってきた人」


きょうちゃんがキョロキョロしはじめた。

『え?あのジャニ系?』

「やだっ!違うよ!もう一人の方」


『…』

っつうか、
なにその沈黙は…


『…』

「ちょっと、何で黙るのよ」


『いや…意外だなって…』


「何が?」


『並…』

はい。
確かに…
別に特別カッコイイ訳でもないし、
背が高い訳でもないし、
マッチョな訳でもない…

「ま、まぁね。私もリーマン普通の方。って最初は言ってたくらいだから」

『その言い方どうなの』苦笑いをした。

「確かに」

お互い顔を見合わて、苦笑いをした。

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