逢いたい時に貴方はいない

□幸せな日々

それからの私は
恋にうつつを抜かして売り上げを下げる訳に行かないので、今まで以上に仕事を頑張っていた。

秋山さんは相変わらず毎日店に来てくれてはいるけど、私的に秋山さんとの時間をたくさん持ちたくて彼がくる2時前には指名客を帰らしていたから
店やキャストの女の子達に秋山さんと付き合っている事がバレないように 2時までの売り上げに力を入れていた。


仕事が終わったら、彼の部屋で待ち合わせる。

これが毎日の日課となっていた。


彼が仕事で店に間に合わない時は、私が仕事を早く切り上げて部屋で待つ。


そんな毎日が楽しくて楽しくて、毎日2時に早くならないかという事ばかり考えていた。

そんな、ある日。
彼が出張で地方に行った時のお土産でお揃いのストラップを買ってきてくれた。

そのストラップは、ネジとネジ回しになっていて、二つで一つになるストラップだった。

単品で見ると可愛い訳じゃないし なんだかわからないようなものだったけど、
彼から貰った初めての物だったから凄く嬉しかった。

『大事にしろよ』

って…手渡された瞬間全てが愛しく感じた。
そして 毎日彼がそのストラップをつけた携帯を店のテーブルに置いて
私も同じくテーブルに置いているから 
周りに気付かれるんじゃないかって ハラハラするのが 余計に胸を熱くさせた。


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