逢いたい時に貴方はいない
誕生日の次の日。

お互いの仕事も終わって
久しぶりに
彼のマンションへ行く事になった


鍵を開け、ドアを開けると…

部屋へは殆ど
帰ってきていないのがうかがえた

私は少しホッとした。

彼が嘘偽りなく
忙しくしてたなら
私のこの数日間が報われるような
気がしたからだった。

部屋の中央にあるソファーに
もたれ掛かると
彼はすかさずタバコを手に取った

その隣に私も座り
何気ない時間を
過ごしているのが嬉しかった。

『いやぁ~疲れたわ』
そう言いながら、
隣の私に軽くもたれ掛かる彼。

「…。」

黙る私に彼が
下から顔を覗きこむ。


『ん~?どうした?』

「なんでもない。」

『あ。そう』


本当になんでもないから、
そう答えた。


でも、
彼の返事の仕方に違和感を覚えた


彼は席をたつと
ベッドへと移動して横になった。

「ちょっと!!」


チョット…

なんなんだろう?


私から言いかけたケド…
何も言うことがなかった。

彼はベッドに横になるのは日常茶飯事で…
彼は今
何も嫌な事をしてないわけで…
彼の行動は
いつもど~りなわけで……。

なのに何故か落ち着かない。



『掃除』

「は?」


そうじ…?


『時間ある時掃除しといてな。』


「う…うん。」

何を言い出すかと思いきや、
『掃除』ですか…

でも当たり前に
私が掃除を頼まれたのが
当たり前のポジションな気がして
嬉しかった。




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