RISK~恋患い~
収納庫に通じる手動の扉を、手に抱えたダンボールでバンっと強引に押した。
初めの頃はダンボールを置いてから、ドアを開けていたけど。
そんな動作が無駄だと気づいて以来、この方法が定着した。
職場の慣習も知って、すっかり板についたと思う。
・・・入社4年目にもなればね?
「よいしょ…っ!」
あ…、ヤバい――
今の掛け声は、流石にオバさん口調だと自分でも思った。
24歳で、よいしょ!はマズイよね…。
テーブルの上にドンと大きな音を立て、段ボール箱を置いた。
運んで来た段ボール箱の中身は、大量のサンプル品。
それらをまずは、メーカーと品種ごとに選別する。
各社競争の新作コスメは、新作コスメコーナーへ。
息の長い定番コスメは、今日の品を奥へと陳列していく。