RISK~恋患い~
こうして大量の化粧品サンプルに、悪戦苦闘の毎日だ。
腰を屈めては立ち上がりを繰り返し、棚へと整理して陳列して。
もの凄く地味ーな作業にも関わらず、かなりの肉体労働を要するし。
1人でやってると、本当に時間が掛かるしね…――
「う~ん…、終わったぁ」
凝り固まった身体をほぐすように、腕をうーんと伸ばした。
裏方作業の方が、筋肉疲労を起こすのだから厄介モノ。
疲れが溜まれば、なおさら肌状態に影響もするしね。
確かに若手の私で、相当にツライと思うんだから。
オバさん達なら、余計に嫌がるよね…?
すると手動扉がバタンと音を立てて開き、視線は出口へ向いた。
「未月ちゃん、お茶が入ったわよ!」
そうして捉えたのは一番若手の先輩、紗依(サエ)さん。
仕事でもプライベートでも、何かとアドバイスをくれる大好きな人だ。
「ハイ、ありがとうございますー」
笑顔でお礼を言いながら、私も一緒に収納庫から退出した。