RISK~恋患い~
睨むように見上げれば、憎らしい黒曜石の瞳と視線がかち合う。
ムカつくくらい、イタズラめいた瞳を睨みつけながらも。
余裕たっぷりな、ヘンタイのある変化に気づいた。
ソレはまさに、先ほどの行為の証ともいえる。
ヤツの唇に移っていた、紅いルージュ痕…――
いつしかズレていた私の眼差しすら、ヘンタイは見逃さないらしく。
「あ、ついてた…?」
分かっていたクセに、クスリと一笑したあと。
お楽しみタイムと言わんばかりに、私へ見せつけるように。
自らの唇を長い指先でスッとなぞり、そのルージュを拭った。
「・・・ッ」
解放された口が使える今こそ、ヘンタイを怒りたいのに。
キスによって腫れかけの唇に、色情的な眼差しを向けられると。
その余韻がヤケに疼いて、溜まった筈の文句も生み出せない…。