RISK~恋患い~
出会って凄ーく間もない、ヘンタイ。
超セクハラ大好きらしい、ヘンタイ。
顔と声だけは抜群に良い、ヘンタイ。
超がつくほど身勝手男な、ヘンタイ。
さらに名前も、今しがた知ったけど。
嫌味なくらいキマったヤツは、英 涼雅――
私が知るのは、これだけなんですが…!
そんなヤツと婚約って、オカシイでしょ!?
あり得ないわよっっ!
たとえ人は、あまりのパニックに陥ったとしても。
その状況でも、少しくらい冷静さが残されるモノ。
そう、信じていたのに・・・
「さっきから、ずっと我慢してるのにさ…。
そこまで喜ばれると、さすがの俺も抑えが利かないな」
「・・・ッ」
ニッコリ笑ったヤツの毒牙は、タチが悪くて恐ろしい。
私から、なけなしの思考を完全に絶ってしまうから…――
鼓膜を揺らす、甘さを備えた低音ボイスに加えて。
鼻腔を掠める、爽やかなフレグランスの香りによって…。