RISK~恋患い~
この不快な気持ちも、もどかしい感じも。
ぜんぶぜんぶ、ヘンタイのせいだもん…!
「暴れるなら落とすけど、どうする?」
するとヘンタイがそう言った途端、腕の力をフッと緩められて。
「ヒッ…!ム、ムリ!」
その不安定さに慄き、保身のために衝動をピタリと止めた。
そして、意外にも高所恐怖症な私は。
何を血迷ったのか、自らヘンタイの首に抱きついてしまう…。
「さてと…、こんな所に長居は不要だ。
行こうか、未月?」
突然の従順な態度に気を良くしたのか、クスリと一笑するヘンタイ。
「・・・ッ」
この声が耳元で響く度に、鼓動を打ちつける心臓以外。
身体はもう、金縛りにあったように動かなくなる。
ずっと向けられていた周囲の視線を、ビシバシ肌で感じつつ。
飄々と抱えられたまま、軽やかに歩を進めるヘンタイ。
だから、私はどうなるの!?