RISK~恋患い~
もうイタイほど知らされたけど、口ではヘンタイに敵わない。
だとすれば、他にどうしようか・・・
無い知恵を絞ろうとしても、出てくる訳もナイ。
オマケに、この状況では打開策が出る筈もなく。
私のちっぽけな脳内は、もう破壊及び破綻寸前。
ソレでもなお、首に回した腕を外せずにいるから。
ふわりと鼻腔を掠める香りに、またドキドキさせられる。
素知らぬ顔でズカズカ突き進んでいく、身勝手なヘンタイ。
もの凄く悔しい筈なのに、そんなヤツの手中に落とされて。
すっかり力の抜けた私には、何も妙案なんて浮かばない…。
今の対処法も分かんないのに、先を読むなんてムリでしょ…?
すると僅かに聞こえる、クラッシック音楽に乗せて。
その中を切り裂いて割るように、軽快なヒール音が響き始めた。
このカツカツ…と主張する足音は、もしかして・・・
「未月、何やってんのよ!?」
そう私の名を呼んだのは、聞き慣れた甲高い声だった。