RISK~恋患い~
その透き通った甲高い声に、カツカツと鳴り響くヒール音。
それは誰なのかと、イチイチ考える必要も無く…――
「有奈…!」
「お疲れさま」
驚く間もなく、柔らかい笑顔を向けられた。
現れたのは高校からの親友、安藤 有奈(アンドウユウナ)。
平々凡々な私が唯一、華やかさに触れられる存在だ。
大企業の社長令嬢で、大学を卒業してお父さんの秘書を務める現在。
そんな彼女は羨むほど、元の容姿が整っているけど。
秘書と言う、華やかな職業柄かな?
ライトベージュの、ジャケットとタイトスカート。
アップヘアの後れ毛が、どこか色っぽさを醸し出してて。
綺麗に施された、上品なフレンチネイルの指先に。
華奢なピンヒールを、颯爽と履きこなしていて。
その姿は、どこから見ても完璧としか言えない。
美容業界で働く私のボルテージを、いつも上げてくれるのだ。