一枚の絵
３
その日は突然やってきた。

いつものように、俺の家で茂美がご飯を作ってると、

ピンポーン

とチャイムが鳴った。

「誰かな？」

と俺が出てみると、知らない男の人が突然、

「娘がいるだろ！」

と怒鳴りながら玄関に入ってきて、その後ろでおどおどしながら女の人が入ってきた。

「えっ。お父さん、お母さん！どうしてここに？」

茂美が驚きながら、玄関に出てくると

「近所の人からお前がこの部屋に入って行くのを見たって聞いたんだ。最近、帰りが遅いし、休みの日には頻繁にどこかに出かけてるようだし。今日も出かけて行ったから、まさかと思って来てみたら…」

ものすごい形相で、茂美のお父さんがまくし立てて言うと、

「そんな、でもいきなり押しかけてくるなんて！」

茂美がそう言い返すと、

「私は止めたのよ。でも、お父さんがどうしても行くって…」

という、小さな声で告げたお母さんの言葉を遮るようにお父さんが

「うるさい！とにかく、帰るんだ！！」

と怒鳴りながら、茂美の腕をつかんで、引っ張った。

「痛い！離して！」

茂美は振り払おうとしたが、固く握ったお父さんの手は離れず、茂美は引きずられながら、外に連れ出された。

「ちょっと、待ってください。お父さん、とにかく話をしましょ」

そう俺は引き止めようとしたが、お父さんは全然聞き入れず、

「話すことなどない！」

と抵抗する茂美をそのままズルズルと、連れて行ってしまった。




















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