一枚の絵
「すみません。もう、閉める時間なんですけど」

いつの間にか現れた警備員の人の声で我に返った。

まだボーとしたまま、入り口を出てトボトボと家のほうに向かって道を歩きながら、彼女の死んだ後のことを考えていた。

結局、俺は、コンクールに絵を出さなかった。

何も手につかず、時々行っていたバイトにも行かず、大学さえも行く気にならず中退してしまった。

中退したあと、しばらくしてバイトには何とか行くようになったけど、それ以外ではほとんど外出することがなくなり、家でぼんやり過ごしていた。

今もそのままだ。

そう思いながら、ふと茂美に似た女の子の絵の笑顔を思い出した。

俺は何かふっきれたような気持ちになり、空を見上げてみると、彼女と出会った日のようなキレイな夕焼け色がいっぱいに広がっていた・・・・・。
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